ピアノを弾くには、楽譜を読むこと、和音やリズムなどの知識、指先から腕、全身の使い方までの身体的なこと、音の聴き方など様々な能力を身に付ける必要があります。課題は各々ですから、自分の現状を知ることが第一歩であり、そこから何をすべきか気づき取り組んでいくこと、ひとつひとつのプロセスを明確にして目的意識をはっきりし、健全な取り組み方をうながしていきます。また、正解がひとつではない音楽の世界において多角的に考える力、創造力を磨き、ひいては考えること、創造することの楽しさを養います。

​生徒さんと良い関係を築くために対話を大切にしています。それがお互いを尊重して理解すること、ひいては生徒さんの能力の向上につながります。対話には様々あり、言葉での対話はもちろん、音と音の対話もひとつの方法です。教師は常に、生徒さんの可能性を探り、何に関心があり、長所短所を見分け、問題点を見つけることができなくてはなりません。どの子にも成長の芽があり、それを見失わず懇切丁寧に育てていくことを常に心がけています。ひとつの課題をクリアしたときには共に喜び、達成感を育みます。

​ピアノは88鍵あり、オーケストラを凌ぐほどの音域をもっています。音域によってタッチ、音色を変えることは当然のことであり、ピアノ以外の楽器の音色をイメージして音を出すことはとても有意義なことです。良い音を出すためには、耳を育てる必要があります。発表会では弦楽器との共演など、アンサンブルをする機会を与えています。アンサンブルは良い耳を育てるために大きな効果があります。

​ソルフェージュでは、楽譜を読むこと、視唱や聴音など、ピアノを弾くために必要な能力を養います。ピアノのレッスンの中でも基本的なことは学びますが、特別に時間をとって取り組むことで、音楽力のさらなる向上につながります。

音大を卒業されても研鑽を積み、コンクールに挑戦している生徒さんもいらっしゃいます。様々なコンクールで賞をいただき、結果を残していますが、コンクールを受けることの真の目的は、出場することでより良い演奏を求めて努力し、本人が成長していくことです。コンクールの出場には向き、不向きがありますので生徒さんの任意で参加させるようにしています。生徒さんの目的意識に寄り添い、全力でサポート、コーチングしていくことが私の教師としての役目だと思って、日々従事しています。